降り注ぐのは、君への手紙
成美の両手に力がこもった。
震えていたはずなのに、俺のバランスを崩すぐらいには力強く、よろけたタイミングで彼女はすばやく逃げ出した。
彼女の手の震えがうつったみたいに、俺の心臓はバクバクと震えている。
「なんなんだよ、畜生」
感じたのは苛立ちと同じくらいの絶望だった。
なんで親父なんだよ。
憧れだろ?
あんなおっさんに本気で好きになる十五歳がいるわけない。
そんな風に、否定すれば否定するほど虚しくなる。
本気なんだと分かる程度に、成美は真剣だったから。
そして考えれば考える程、認めずにはいられなかった。
……なんで俺はアイツなんだよ。
大して話したことがあるわけでもないのに。
脈なんてあるはずもないのに。
なんでよりによって、あんな女にごっそり心を持ってかれなきゃならないんだ。