降り注ぐのは、君への手紙
【前言撤回だ。
できるだけ早く戻るから。
俺が目覚めたら、一番に顔を見せてくれないか。
その時直接言いたいことがある
武俊】
今度は名前までちゃんと入れて、便箋を二つに折りヨミに差し出す。
「ほら、さっさと出せよ。出したら珈琲入れてやる」
「はあ」
ヨミはちらりと手紙の内容を一瞥し、クスクスと笑う。
「この内容なら虹という形でお届け出来そうです」
「そりゃいい」
俺は笑って、珈琲の粉を振り入れる。
カウンター越しに見える鏡、その先にきっと虹が広がるだろう。
それを見て、成美が少しでも笑ってくれたらいい。
いつか必ず戻るから。
その時まで成美の心に刻まれるように。
「極上の虹を作れよ」
「だったら極上の珈琲を入れてください」
俺も頑張るから。
どうやらこの男に対しては武器になるらしい、特別美味しい珈琲で。