降り注ぐのは、君への手紙
「ほら、早速お客様ですよ」
重厚感のある扉が、軋むような音を立てつつ開く。
現れたのは、年配の女性だ。
八十は過ぎているだろう。曲がった腰を抑えながら、不安そうな顔でよたよたと入ってくる。
いつもと違うのは、彼女の服が現代のものではなく白を基調とした薄衣だというところだ。
「おやこれは」
ヨミは眼鏡を直すと、笑顔を見せる。
「どうなさいました? 道に迷われましたか? あなたは天道へ行かれた方でしょう」
「はあ、あの。ここは」
「ここはヨミタケ郵便局です。どなたかに手紙をお出しになりますか?」
老女は迷ったように口ごもり、やがておずおずと言った。
「……居場所が分からなくても届けられる?」
「そうですね。それには少しお話を聞かせていただかないといけません。タケさん、すみませんがお茶を」
「へいへい」
やっぱり俺の仕事はお茶汲みじゃねぇか。
虚しくなりつつ、ばあさんの好みそうな煎茶をいれるため、お湯を沸かした。