「今」という時間
怖いもの
卑怯者
私の名前は赤井真央(あかい まお)。
今日は中1最後のテスト、真っ只中。
「真央、行ってらっしゃい。しっかり
ね。」
と、キッチンから母親の声がした。
「はい....。」
とだけ答えて玄関へ。
どうしても、素っ気ない返事になっちゃうなぁ...。
私には両親がいない。
今の母親は、血縁上は私の叔母なの
だ。
私が生まれた時、実の父親はすでに他
界しており、実の母親は一人では育て
られない。と私を置いて出ていった。
つまり捨てられた子。
はぁ、もっと普通に生まれて来たかっ
たなぁ。
両親は私が嫌いみたい。
そのくせ勉強にはものすごく厳しい。
それでも、私を育ててくれた人だか
ら、恨むに恨めない。
だから私は私なりに誠意を見せてきた
つもりだ。
中学受験をして入学した私達の学校は、全国でも有数の進学校。
受験は自分の意思ではなかったけれど、それで認めてもらえるならと頑張った。