「今」という時間

女の私でも見とれてしまうくらい可愛い満面の笑に、少し複雑な気持ちになった。

「う....うん。頑張ろう....ね。」

本当は明日香に頑張って欲しくなんかなかったから。
みんな、手を抜いちゃえばいいのに。

なんて卑怯なことを考えてる自分が大嫌い。

....とあれこれ考えてたら先生来ちゃった。

なんか....変に緊張するなぁ。

「始めっ。」

という先生の合図でみんなすぐさまシャーペンを走らせる。

テスト中はペンで文字を書く音と、問題用紙をめくる音以外はなにも聞こえない。

今日のテストは3教科で終わる。

1、2時間目と、順調に終わっていって、3時間目。
私の一番の得意科目、英語が始まったところで異変は起きた。

なんだろう....。この感じ。
なんか変だな。
全然....問題が頭に入ってこないや....。

風邪だから?
そんな....せっかくここまでやってきたのに、台無しになるの....?

「努力は報われる。」

だなんて、嘘だね....。

やだよ。
もう痛い思いはしたくないっ!
絶対....ぜったいぜったいやだっ!!

なんだか変な汗と息苦しさに気づいた時にはもう遅くて....

「赤井さん!?」

という先生の焦ったような声。

それを耳にした瞬間。
私は意識を手放した。

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