神様修行はじめます! 其の四
始まりの足音
「あのさ絹糸、いきなりなんだけどさ」
「なんじゃ、いきなり」
「だから、いきなりだけどって断ったじゃん」
ということで、いきなりなんだけど・・・・・・。
春の陽射しって独特で素敵だと思わない?
まるで女神さまの両腕に包み込まれているような。
そんな、とっても優し~い温かさを感じない?
「ね、しま子もそう思わない?」
「うああぁ~~」
しま子があたしの隣に正座しながら、返事をした。
その肩や頭の上には、お掃除係の小人さんたちがいっぱい乗っかってる。
ロッククライマーみたいに、しま子の体によじ登って遊んでるんだ。
チャレンジャーだなぁ。小人さんたち。
頭のてっぺんまで到達した小人さんは、えっへん! と胸を張って得意そう。
楽しそうなその様子に、優しいしま子は嫌がりもせずニコニコしてる。
「ふむ。厳しい冬の寒さの後じゃ。ありがたさも格別じゃて」
絹糸があたしのヒザの上で、丸まりながらそう答えた。
・・・なんだか半分寝ぼけてるような声。
どうも絹糸って最近、寝てばかりいる気がするんだけど。
「ちょっと、まさか老衰? 多臓器不全じゃないよね?」
「よさぬか。シャレにならぬわ」
嫌そうな声の絹糸に、あたしはプルプル首を横に振る。
いえ、シャレの要素は一切ありません。
だって絹糸の場合、年齢のケタ数がハンパないんだもん。
< 1 / 697 >