神様修行はじめます! 其の四
「お岩さん、やっぱり・・・」
「なんですの?」
・・・やっぱりあなたは・・・
とっても素敵な女性だよ・・・・・・。
「やっぱりそれ、一応手当てした方がいいよ」
あたしは笑ってそう言った。
そしてお岩さんの手を取り、引っ張る。
「行こ。どっかで薬塗ったげるよ」
ふたり並んで手を握りながら、歩き出す。
手の平から伝わってくる感触は、柔らかくてしなやかで、強靭な温もり。
何事にも負けない強さ。
アスファルトをぶち破ろうとする、土の民の不屈の意思。
うん。それ、見習うよ、あたしも。
だから諦めたりしない。
きっとどこかに、今回の結婚問題の解決策だってあるはずだ。
セバスチャンさんは『回避できない』って言ってたけど、あたしはそんなの認めない。
認めるもんか。大好きなお岩さんを救う方法を諦めるなんて、絶対に嫌だもん。
自分の力で探し出して見せる。
一緒にがんばろう! お岩さん!
澄んだ空を見上げて大きく深呼吸、ひとつ。
根拠もないのに、なんだか元気が出てきた。
さっきまではすごい沈痛な心境だったのに、体の芯から希望が湧いてくる。
あたしはギュッとお岩さんの手を強く握りしめた。
あたしの気持ちを感じたのか、お岩さんもしっかりと握り返してきてくれる。
あたし達は、同じ想いを共有している。
それをお互い同士が、知っていた。