神様修行はじめます! 其の四

子猫ちゃんが興奮した様子で、甲高い声で鳴き続ける。


「にー! にー! にぃぃー!」


「小娘ー。いったいどこをほっつき歩いておるかー」


ほっつき歩いてないよ。隠れてるんだってば。


なのに大声出して呼ばないでよ。まったくもう。


あたしは慌てて木戸に駆け寄り、乱暴に開けた。



「絹糸、どうしたってのよ? 門川君のところに居るはずじゃ・・・ あれ? いない?」


あたしはキョロキョロと忙しく左右を見た。


その場にいるはずの絹糸の姿が、見当たらない。


でも確かに今、聞こえたよね? 絹糸の声。



「絹糸? どこ?」


「おお、やれやれ。そこにおったのか」


「そこって・・・あんたはどこにいんの?」


「上じゃ。上」



上? ああ、変化して空を飛んでいるのね?


と思って空を見上げたけれど、やっぱりどこにもいない。


っていうより、さっきから妙に近い場所から聞こえてくる気がするんだけど。声が。



「下じゃ。下」

「下ぁ??」


なんなの? 上って言ったり下って言ったり。


しかも、言われた通り視点を下げても、やっぱり絹糸はどこにもいないし。


見えるのは桜の木と、枝にとまったウグイスが一羽だけ。



「どこにいるの?」


「やっと見つけたか。小娘よ、よく見ろ」


「はあ? 見ろって・・・?」


「よおおく、見よ」


枝の上のウグイスのクチバシが、人語を話しているかのようにパカパカと開いている。


・・・・・・・・・・・・。


え・・・? ま、まさか・・・?


「我じゃ。絹糸じゃ」

「・・・えーーー!?」

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