神様修行はじめます! 其の四
届け出も、長老の船での登場も、派手派手に動いて目立つための作戦だ。
周りに大々的に公表してしまって、こっちの身動きをとれなくしてしまうつもりなんだろう。
・・・姑息なことしてくれるじゃん。マシーンのぶんざいで。
「それで、あの男はどうしておる?」
「あの男?」
「遥峰じゃよ。今回の件は、どう動いておる?」
お岩さんがビクリと体を固くして、反射的に顔を絹糸からそらす。
あたしは空気の塊をグッと飲み込んだ。
なんと言っていいか分からず困ってしまう。
言葉がなかなか出てこなくて、口の中でモゴモゴするばかりだ。
そんなあたし達の不穏な空気を読んだらしい絹糸の声が、低くなる。
「・・・どうかしたのか?」
「あの、セバスチャンさんは・・・成重さんを、お岩さんのお婿さんにするって・・・」
「なりしげ? ああ、あの末子か?」
「知ってるの?」
「顔だけはの。なにせ子の数が多いのでな。確か、影の薄い男であろう?」
「うん。お互い協定を結んで、子作りマシーンに対抗するつもりらしいよ」
あたしは、あえてお岩さんの告白の事については触れなかった。
だって・・・言えないよ。
これからの権田原の里にも大きな影響を与えてしまうかもしれないけど。
あたしの口から、絹糸に告げていい事とも思えない。