神様修行はじめます! 其の四

「なるほどのぅ。ついにこの日が来てしもうたか」


ほうっと小さく息を吐き、絹糸がしみじみと漏らす。


「仕方あるまい。遥峰はどうあっても、岩の気持ちを受け入れるわけにはいかぬからな」


「・・・・・・え?」



絹糸の言葉が引っ掛かった。


どうあってもお岩さんの気持ちを受け入れるわけには、いかない?



「・・・なにそれ?」


「ん? なんじゃ?」


「なんでセバスチャンさんが、お岩さんの気持ちを受け入れるわけには、いかないの?」


「・・・・・・・・・・・・」



小さな丸い目が、無言でパチパチ瞬きを繰り返す。


明らかに『あ、まずった』って表情で、フィッと絹糸が視線をそらした。


そしてひたすらクィクィ忙しく小首を傾げる。


ロコツに不審な態度丸出し。よほどアセッてるんだろう。



「いや、まあほれ、その、なんじゃ」


「だから、なによ?」


「こうゆう事はのぉ、なんというか、本人同士の気持ちの問題であってな・・・」


「絹糸、あんた何か知ってるでしょ?」



ズバッと切り込んでやった。


途端に絹糸の動きがビタッと止まる。


視線をそらしたまま、冷や汗ダラダラな表情になって・・・


クルッと尾っぽを向けて、ふっくら丸まってしまった。

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