神様修行はじめます! 其の四

「おいこらコッチ向け絹糸」


「我は・・・何も知らぬ」


「ウソこけ。バレバレだっつーの」



『ついにこの日が来た』とか言ってたよね?


しかも何でお岩さんとセバスチャンさん間のトラブルのこと、感づいてんのよ?


あたしはまだひと言も言ってないのに。


それって、あらかじめ予測してたってことでしょ? ・・・どういう事なのか、言いなさい。


あたしはドスの利いた声で、絹糸のお尻に向かって凄んだ。



「白状しろ。吐け」


「他人の色恋に首を突っ込むような真似はのぉ、無粋というものじゃよ」


「すでに無粋がどーのこーのってレベルじゃないの。問題は」



お岩さんの人生がかかってるんだからね。


なんとしてでも吐いてもらうよ。



「じゃから、我は何も知らぬと言って・・・」


「子猫ちゃあぁん。このウグイス、好きにしていいわよぉぉ」


「待て待て待て! やめい! これ!」



あたしに尾っぽをつままれた絹糸が、必死にバサバサ羽ばたいて暴れている。



「我を殺す気か!?」


「あたしだって、子が親をウッカリ殺戮する悲劇的シーンなんか見たくないよ」


「ならば手を離せ!」


「離してほしけりゃ、言いなさい」


「じゃから、我は知らぬと・・・」


「あっそ、分かった」

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