神様修行はじめます! 其の四

あたしは絹糸をポイッと床の上に放った。


それを見た子猫ちゃんの金の両目が、爛! っと光り輝く。


「これ我が子よ、落ち着けい!」


「あたしセバスチャンさんの所に行ってくる」


「小娘!?」


「事情は全部絹糸から聞いたって、カマかけてくる」



そう言うなり、あたしは木戸を開けて外へ飛び出した。


予想通り慌てた絹糸が、文字通り飛んで後を追ってくる。


あたしの肩にバサッととまって、耳元でギャアギャアと喚き出した。



「待て小娘! そんな事をするのはよせ!」


「だってしょうがないじゃん。絹糸が教えてくれないんだから」


「遥峰には、何も言うな!」


「だって本来だったら、セバスチャンさんがお岩さんにキチンと言うべきでしょ!?」



ただ拒絶されるだけのお岩さんの気持ち、考えてるの!?


セバスチャンさんが、お岩さんのことを好きじゃないってんなら、それはそれで仕方ないとは思うよ!?


その気持ちに、無理強いなんてしないさ誰も!


でも、どうやらもっと深い事情があるんでしょ!?



「なのに何も聞かずにただ納得だけしろって、あんまりヒドすぎるよ!」


「分かっておる! 充分に分かっておるのじゃ! それでも・・・!」


途端に絹糸は、しおしおとうなだれてしまった。


「それでも遥峰の口から言わせるなどと、そんな残酷な真似は・・・やめてくれい」

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