神様修行はじめます! 其の四
・・・兄弟? 兄弟? 兄弟?
『兄弟』の漢字二文字が、頭の中で連続エコーしている。
ガンッガンと頭の壁にぶつかりながら反響している。
父親が同じ? 異母兄弟ってこと?
ふたりは血が繋がった、実の兄弟?
い、意外な展開過ぎて、なにがなんだかもう全然分かんないよ。
なんだってそんな話になっちゃうわけ?
「どういうこと? 詳しく説明してよ」
問い詰める声がノドからうまく出てこなくて、引っかかってかすれた。
でも絹糸は難しい顔をしつつ、はっきり答える。
「遥峰と岩が、実は兄弟であったらしい。言えることはそれだけじゃよ」
「それだけじゃ、全然事情が分かんないってば!」
「詳しい事情を、ここで暴露するつもりはない。そんな真似は我にはできぬ」
言われてあたしは、うっと詰まってしまった。
それは・・・そうだろう。出生の秘密は究極のプライバシーだ。
他人がベラベラしゃべりまくって、勝手に周りに広めて良い話では絶対にない。
だから絹糸は、あんなにも言いたがらなかったんだ。
「間違いないの? 根も葉もないデマじゃないの?」
「根も葉もなにも、我が遥峰自身の口から聞いた事実じゃよ」
「ね、ねぇ、その話ってお岩さんは・・・?」
「知っているわけがなかろうが」
だ、だよね。うん。
知ってたら、セバスチャンさんに対して恋愛感情なんか抱かないだろうし。