神様修行はじめます! 其の四

恋愛、感情・・・・・・?


実の兄に対して、結婚したいほど本気で恋を・・・・・・?



あたしは一瞬、クラリと目まいを感じてしまった。


そ、それって色々と、ほんとに色々と、まずい事態じゃないか?


色々と、色々・・・い・・・



「い、胃が痛くなってきた・・・」


「じゃから我は言うたであろう。他人の色恋に首を突っ込むな、と」


みぞおち辺りを手で押さえ、身をかがめるあたしに絹糸はむっすりと言った。


あまりにも、ごもっともなその御意見に泣きそうになってしまう。



だってまさか、こんな暴露話に繋がっているとは夢にも。


それにしたって。


なんでこんなに、さっきからどこまでも救いようのない展開に突き進んじゃうわけ?


お岩さんの運勢、いまちょうど大殺界のど真ん中あたりなんじゃないだろうか?


こんな重大な秘密を知ってしまって、あたしはこれからどうすりゃいいの?


いっそお岩さんをお祓いに連れて行こうか。



―― ザリ・・・


土を踏む音が背後に聞こえて、ハッと振り向いた。


そこに立っている人物を見たあたしの顔から、一気に血の気が引く。


頭のてっぺんからドッと汗が吹き出て、それが一瞬で完全に冷え切った。


「お・・・お岩さ・・・」


「今の・・・話しって・・・?」


紙のように真っ白な顔色のお岩さんが、子猫ちゃんを抱きしめながら立ち尽くしていた。

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