神様修行はじめます! 其の四
あんたの頭をぶん殴って、記憶喪失に陥る手助けしてやってもいいんだからね!?
「お前、やはりここにおったのか」
手の中の絹糸が不機嫌そうな声で浄火に話しかけた。
浄火が驚きの声を上げて絹糸をまじまじと見つめる。
「うわビックリした! 鳥がしゃべってるぞ!」
「信子と一緒に姿を消したと思ったら、小娘の尻を追いかけて来よったか」
「お前、誰だ? オレはメジロに知り合いはいねえぞ?」
「我はメジロではない! ウグイスじゃ!」
「ちょっと絹糸、あんたはウグイスじゃなくて猫でしょうが」
「そ・・・そうであったな」
「絹糸ったら、ホントにこのままだとウグイスと同化しちゃいそうだね」
「その心配はない。時間が経てば強制的に元に戻るようになっておる」
「あなた、さっきの発言はどういう意味ですの?」
お岩さんが、もどかしそうに会話に割り込んで浄火を問い詰めた。
さっきまで絶望に染まっていた目に、ほんのわずかに希望の明かりが灯っている。
「知っている可能性のある人物って、どういうことですの? 教えて」
そ・・・そうだった! その話をしてたんだった!
あたしは浄火に向かって再び怖い目をして凄んでみせた。
「なんで部外者の浄火が、その人物に心当たりがあんのよ?」