神様修行はじめます! 其の四
あのね、お岩さんの方が大事だとか、門川君の方が重要とか。
そういう問題や答えじゃないんだ。
ただ、お岩さんの事を救うチャンスは本当に今しかない。
親友だったら、とるべき行動はひとつでしょ?
お岩さんだって、逆の立場ならあたしと同じ行動を選ぶんじゃない?
絶対だよ。あたしには確信できる。
「なのに、あたしにだけ帰れってさ、ひどくない?」
「・・・・・・・・・・・・」
「あたし帰んないから。お岩さんと一緒に行く。もう決ーめた。なに言ってもムダだよーん」
へへっと笑ってあたしは答えた。
お岩さんの両目がみるみる潤んで赤くなる。
唇がふるふる震えて、富士山みたいにキュッとへの字に曲がった。
赤ちゃんが泣き出す寸前のような顔を、クルッと背中を向けて彼女は隠す。
グスグスと鼻を啜る音が数回聞こえて・・・
大きく息を吐いてこっちを向いた時は、彼女はもう泣いてはいなかった。
「ええ、もちろんわたくしも、アマンダを親友と認めていますわ。心から」
あたしにそう告げてくれたお岩さんは、あたし同様に笑っていた。
その笑顔に偽りはない。
分かってくれたんだ。伝わったんだ。あたしの気持ちが。
そのことが、すごくすごくあたしは嬉しかった。