神様修行はじめます! 其の四
あたし達はウグイスが飛び去った空の彼方をボーッと眺める。
「あぁ、そういえば時間がきたら強制的に元に戻っちゃう、とか言ってたっけ」
「術の時間切れってことか?」
「また絶妙のタイミングで切れたものですわねぇ」
ほんとだ。ちょうどこれから本題に入るとこだったのに。
門川で何が起きているのか聞きそびれてしまった。
「ババァ絡み、とか言ってましたわよね?」
「信子ババのことか? おい、まさか島にも問題が起きてるんじゃないだろうな?」
「その可能性はあると思うよ?」
今この時期に重なるようにトラブルが発生したんだ。
それに因業ババが噛んでいるとなれば、常世島にもかかわっている可能性は高い。
利用するだけ利用してから、味の無くなったガムみたいにポイ捨てするつもりかも。
「実際、危うく端境の一族は、ババに消されるところだったんだから」
「おい、冗談じゃねえぞ? これ以上島民が犠牲になるのはごめんだぜ」
浄火が珍しく不安そうな顔になった。
次々と起きる長老たちの怪しい動きに、さすがに不安になってきたらしい。
「信子ババは、島を救うって確かにオレに約束したんだ」
「だから言ったじゃん。あの因業ババを信用するなって」
「ババァの言葉は、アンコウの頭についてる疑似餌と同じですわ。信じて近寄ったら丸飲みされますわよ」