神様修行はじめます! 其の四
「・・・行こう。島へ。今すぐに」
浄火の声が真剣味を帯びる。
「島へ行けば、きっと答えが見つかるはずだ」
あたしとお岩さんは、揃ってうなづいた。
お岩さんとセバスチャンさんの事実を知っている産婆さんは、島にいる。
門川で起きているらしい異変の原因が、島にあるかもしれない。
あたしは門川へ戻れなくても、島へ行けば門川君の力になれるかも。
それに事実が分かれば、今度こそ浄火も因業ババの本性に気がつく。
あたしたちの望む全ての答えは、常世島に。
絹糸の心配は分かるけど、やっぱり島へ行くべきなんだ。
・・・行こう。島へ!
「しま子」
「うああーー」
少し離れた場所から、黙って事の成り行きを見守っていたしま子が返事をする。
ドスドスと近寄ってきて、あたしをじっと見下ろした。
「しま子も島へ一緒に行ってくれる?」
未知の場所。何が起こっているのか分からない。
無事に到着できる保証すらないし、危険なことが待っている予感がする。
だから無理強いはできないけど・・・。
「できれば力を貸してほしいんだ。助けてほしいの」
「うああ~~」
しま子はコクコクうなづいた。そしてお岩さんに向かい、スッと右手を差し出す。
その手には・・・一枝の桜が握られていた。