神様修行はじめます! 其の四
「お前ら、海を見たことねえのか?」
「海なら見たことあるけど、アレはない!」
「だから、あれが海だろ?」
通じない会話を続けているうちに、船はどんどんオーロラの海へと近づく。
ついに船首が光の海へと乗り出した時、あたしのドキドキは最高潮に達した。
うわあ、うわあ、うわあ!
―― ふわり・・・
色づく空気の塊の上に乗り上げたような、ふわっとした感触。
まるでメリーゴーランドのような優しい揺れを感じる。
甲板から下を覗きこむと、透き通る光のヒダがヒラヒラと靡いていた。
向こうが透けそうなほどの透明感なのに、底は見通せない。
そこがまた、神秘的な雰囲気をかもし出している。
「あぁ、なんて素敵なんだろう・・・」
「状況も忘れて、見入ってしまいますわ」
お岩さんとふたり、身を乗り出すようにウットリと下を眺め続ける。
ずっと見ていても飽きないほど美しい。
「ふたり共、うっかり落ちたら二度と上がってこられねえからな。気を付けろ」
浄火があたしたちにクギを刺した。
「忘れたのか? この海は、ただの海じゃないんだからな」
「あ、そ、そうだったね。つい・・・」