神様修行はじめます! 其の四
海底からの使者
ヘビ少女は船首ギリギリに立ち、島を見据えている。
乗り出すように前のめりに背筋を伸ばし、彫像のように動かない。
気を集中しているその姿は、航海の安全を守る船首像の女神のようだ。
ヘビ女神に導かれながら、船は真っ直ぐ順調にオーロラの海を進んでいく。
何の問題もなく、島へとみるみる近づいていった。
「よかった。無事に着きそうだね」
「ああ。何も出てくる気配もないしな」
「出てくる? なにがよ?」
「この海の生き物さ」
あたしはちょっと驚いてしまった。
へえ? まさかこんな不思議な海に、生き物が生息できるなんて考えもしなかった。
世の中にはまぁ、ずいぶんたくましい魚もいるもんね。
やっぱり色付きなのかな? 熱帯魚みたく。
「生き物っていうよりも、化け物だけどな」
「・・・・・・はい?」
あたしは思わず浄火の顔を見上げた。
「今・・・・・・なんつったの?」
心の中で、不安の芽がチョコンと顔を出す。
いま聞いた言葉って、すごく重要事項なんじゃなかろうか?
もしかして、海に出る前に、あらかじめ聞いとくべき事項なんじゃなかろうか?