神様修行はじめます! 其の四
「いるらしいぜ? オレは見たことねえけど。信子ババが言ってた」
「なんて?」
「恐ろしい化け物が住んでいるから、くれぐれも注意しろって。襲われたら命は無いと思え、ってさ」
あたしとお岩さんは無言で顔を見合わせた。
話を聞けば聞くほど、不安の芽がスクスク順調に伸びていく。
ものすごく、ものすごーく嫌な予感がするんですが。
「船の術師を総動員して、ムニャムニャ呪文を唱えてずっと結界張ってたぜ?」
「ねぇ、それ・・・今やんなくていいの?」
「やるにも、やれねえだろ? 術師なんかどこにいんだよ?」
いや、あのさ。
あたしが言いたいのは基本的に、そーゆー問題じゃなくて。
襲われたらひとたまりもないような、すんごい化け物がここにいるんだよね?
あんたはそれを、事前に知ってたんだよね?
なら、ちゃんと準備してるんでしょ?
何の対策も無しに、警戒レベルMAXの外国に飛んじゃうウッカリ旅行者みたいなマネ、してないよね?
・・・お願いだから、この不安の芽を摘み取って。
頼むから、大きく開花させないでちょうだい。