神様修行はじめます! 其の四
「里緒は怖がりで可愛いなー。そんな化け物なんかいるわけねえって。実際、出てこなかったし」
「・・・それって結界張ってたから、出てこなかっただけじゃないの?」
「ん? まあ、逆の理屈でいえばそうも言えるかもな」
「おい! なによそれは!」
そんなノホホンとした言葉に、さすがにあたしの頭は沸騰した。
「逆の理屈も反転もない! 普通に考えればその結論にたどり着くじゃん!」
「心配すんな。どっちにしろもう島に着くんだから」
ノホホン浄火の言う通り、船は着々と島に向かって進んでいる。
切り立った岩場ばかりが目立つ島は、もう目と鼻の先だった。
どうやら無事に渡れたようで、あたしはホッと胸を撫でおろす。
伸びかけた不安の芽が、胸の中でシオシオと地中に隠れていった。
「ああ、良かった。一刻も早く島へ・・・」
―― ユラリ・・・
「・・・・・・!?」
突然、目の前のオーロラの波が大きく盛り上がった。
海の底の方から、何か巨大なものが浮上してくるような大波に船が乗り上げる。
船首のヘビ少女の表情が一変し、シャアァッと舌を出して警告音を発した。
あたしの胸に、不安と嫌な予感が通勤ラッシュのようにドッと押し寄せる。
・・・来るの? ゴール直前で来るの? やっぱり来ちゃったのーー!?