神様修行はじめます! 其の四
―― ゴオォゥッ!
巨大なものが海面から、水音も無くブワッと飛び出してきた。
天へ向かって勢いよく伸びる円筒のような胴体が、あたし達の遥か頭上を虹のように跨いでいく。
巨体は水面に潜ったかと思うと、すぐまた飛ぶように姿を現して船の上を何度も跨いでいる。
・・・でかい! いや、長い!?
どっかの神社の御神木の幹みたいに、ガッシリぶっとい胴体は目が覚めるような青色。
その胴は、この巨船の横幅を余裕で跨ぐほどに長い。
鮮烈な黄色に染まった尖った顔の上部に、丸く小さい無表情な両目がついていた。
小さな目とは不釣り合いなほど大きく開いた口には、ノコギリの刃のような鋭い牙が。
これって・・・ウツボだ!
海のギャングと呼ばれる、危険な大型肉食魚!
てか、いくらなんでも大型すぎるだろこれ!
超巨大ウツボは、ついに大口をガパリと開いて、あっけにとられているあたし達に攻撃をしかけてきた。
尖った顔が一直線にこっちへ向かって来る。
人間なんてまとめて一飲みしてしまう、洞窟のような薄黒い口腔が迫ってきた。
接近する鋭い鍾乳石のような無数の恐ろしい牙に、恐怖で足がすくみそうになる。