神様修行はじめます! 其の四

あたしも浄火もお岩さんも、その場から散り散りになって逃げ出した。


うわあぁ! やっぱり不安的中!


だからあたし、ニョロ長系は苦手なんだってばー!


しかもこいつムダに色彩がきれいで、なんか余計にムカつくんだけど!


―― バキバキ!


巨大ウツボの顔面が甲板に突っ込み、大きな破壊音をたてて床をえぐり取っていく。


そして竜のようにシュルシュルと空に向かったかと思うと、急転直下。


またこっちに向かって、ものすごいスピードで突っ込んできた。


「うわっ!?」

「きゃあ!」

「ひえぇっ!」


三者三様の悲鳴を上げて、あたし達は迫りくるウツボからひたすら逃げ回った。


血相変えて全力疾走する背後で床板が噛み千切られ、振動に足をとられて転びそうになる。


尖った木片がバラバラと刺さるように降ってきた。


・・・危ない!


とっさに頭を両手でガードする目の前に、象のような太い胴体がウネウネと迫ってきた。


これに巻き込まれたら命は無い!


また悲鳴をあげつつ、必死に逃げ回る。


ウツボは小さな獲物がそれぞれチョコマカ動き回るもんで、どうやら目移りするらしい。


狙いが定まらないせいで何とか逃げ回れてるけど、おかげで甲板はメチャクチャ。

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