神様修行はじめます! 其の四
緊迫しきったシーンに不似合いな、のんびりした声。
スルスルと衣擦れのような音が近づいて来る。
「仕方ないねぇ。どれ、あたしが一肌脱いでやるとするかい」
それは、一匹の小さな白いヘビだった。
背中には、極細の美しい金の筋。
そしてルビーのように輝く濃紅の目。
長ニョロ系が苦手なあたしですら見惚れるほどの綺麗な姿。
気風の良い、江戸っ子姐さん口調のこの白ヘビは・・・!
「あの時以来だね。あたしを覚えてるかい? 天内の小娘」
退魔の能力を持つ、門川の沼の主!
白妙(しろたえ)さんだ!
鬼ババの奥方の反乱事件以来ずっと姿を見せていなかったのに、どうしてここに!?
・・・・・・いや、今はそんなことよりも!!
白妙さんは、治癒の能力も使えるんだ!
やったー! 救いの女神さまの降臨だーー!!
「白妙さん! 会えて嬉しいよー!」
「・・・あたしゃ帰るよ」
「ぎゃー! 待って待ってごめんなさい!」
久しぶりだから忘れてた! 白妙さんって名前呼ばれるの大嫌いだったっけ!
わざとじゃないのよ! ちょっと再会までインターバル開き過ぎたからウッカリしただけ!
土下座でも罰ゲームでもなんでも言うこと聞くから、お願い見捨てないで!