神様修行はじめます! 其の四
ひょえー! それは意外!
顔立ちはそれなりにイケメンだけど、雰囲気はどう見ても村人Aって感じなのに!
「別にオレはお坊ちゃまじゃねえよ。長の親族とかでもねえし」
「親族でもないのに次の長候補なの? それって皆に実力を認められてるってことじゃん」
「この島で暮らすのに必要なのは、血筋より実力だからな。あの門川当主のお坊ちゃまとは違うさ」
「・・・・・・・・・・・・」
「血統書付きなんだろ? あのメガネのお坊ちゃまは」
ふざけた浄火の口調に、あたしの胸はムカッと反応する。
・・・なによ、それ。門川君のことバカにしてんの?
「確かに彼は門川の次男坊だけど、血筋だけで当主になったわけじゃないよ」
浄火を睨み付けるようにして、キツイ声で反論した。
「彼は本当の意味で、実力で当主になったんだもん。辛くて悲しい戦いの末に」
「・・・・・・里緒?」
「たくさんの大切なものを失って、ボロボロに傷付きながら、大きな覚悟のうえで当主になったんだ」
「・・・・・・・・・・・・」
「何も知らないヤツに、知ったようなことなんて言わせない。そんなのあたしが絶対許さない」
そうだ。彼を侮辱するヤツは、たとえ相手が誰であろうとあたしが許すもんか。
どんどん胸に熱い感情がこみ上げてくる。
あたしの険しい表情を、浄火は黙ったままで見つめていた。