神様修行はじめます! 其の四
「おいおい、みんな落ち着けって。後でちゃんと話してやるから」
「いーじゃない! いますぐ聞きたいのよ!」
「向こうにはどんな珍しい物があるんだ!? すごく栄えていたのか!?」
浄火を押し倒さんばかりの勢いで、ワーワー次々と島民が集まってくる。
誰もあたしやお岩さんの存在に気付かないほどの興奮状態。
「みなさん、燃え上がってますわね・・・」
「まぁ、無理もない反応だろうけど」
ここの人たちって島の外の世界をほとんど知らないんだもんね。
鎖国時代の日本人みたいなもんか。
じゃあ浄火はさしずめ、万延元年遣米使節の福沢諭吉か、勝海舟?
ひゃー、偉人じゃん。ヒーローだー。
「ねえねえねえ! あっちの女の人ってどんな服装なの!?」
口紅を塗っているように赤い唇の女性が浄火に詰め寄った。
ツヤツヤ光る小石のネックレスやブレスレットをいっぱい身に付けてる。
きっと見知らぬ世界のファッションにすごく憧れてるんだろう。
夢見るような表情で、うっとりとつぶやいている。
「ああ、あたしも一度でいいから、向こうの最高に着飾った女の人の姿を見てみたいわ・・・」
「それなら連れて来てるぞ?」
「・・・ほんと!? きゃああー! どこー!? どこどこ!?」
「そこだ」
「どこ!? ど・・・・・・」