神様修行はじめます! 其の四
「おお、会ったばかりなのに、けっこう大胆だな。オレの嫁は」
「小娘! なにをしておるか! はしたない!」
「わざとじゃない! 足がしびれて動けないの!」
「情けない! さっさと立たぬか!」
「ひーヤメて! いま足に猫パンチしないで爆発しちゃうー!」
「ずいぶん生きのいい猫だな。毛並みもいいし」
言うなり彼は、絹糸の首根っこをヒョイとつまみ上げた。
顔の高さまで持ち上げ、しげしげと観察する。
絹糸はプラプラ揺らされながら、牙を剥いて叫んだ。
「なにをするか! 我を離せ!」
「目は純金色。毛色は宝石色で、おまけにしゃべる猫か。こりゃ高く売れそうだ」
「この・・・無礼者めが!」
絹糸の目の色が濃くなって、毛並みがザワザワと逆立ち始めた。
・・・やば。キレて変化しかけてる。
こんな公式な場所で変化なんかしたら、後で当主たちからどんなイチャモンつけられるか・・・。
「絹糸! だめーー!」
「うがああーーーーー!」
突然しま子が唸り声をあげ、彼に向かって襲い掛かった。
あたしと絹糸の様子を見て、こいつは敵だと判断したらしい。
あたしたちを守るべく、鬼の爪を振りかざして切り裂こうとした。
うわあ! こっちもキレてるし!
しま子、襲っちゃだめえー!
しま子に手を伸ばし、止めようとしたその瞬間・・・・・・
―― ゴオォォォッ!!
突然、しま子の全身が紅蓮の炎に包まれてしまった。
しま子はのけ反り、悲鳴を上げて苦しみだす。
こ・・・この炎は・・・・・・
滅火の炎!?