神様修行はじめます! 其の四
そしてそのまま戌亥の腕の下を素早く潜り抜ける。
手首関節技が決まって戌亥が悲鳴をあげた。
「いってえぇぇーーー!」
「あんた、なに自分勝手な理屈で浄火に過剰反応してんのよ!」
「いてえ! は、放せえ!」
相手の力が緩んだところで、ヒザ関節を後ろから払いながら肩をドンッと押す。
戌亥はあっけなくカックリその場に崩れてしまった。
バッカじゃないの!? こいつ!
浄火はあんたの身を心配してくれてるってのに、勝手に逆ギレして!
「あんたは自分のことしか考えてないから、島に何が起こっているのか見抜けないのよ!」
「・・・く、くそ・・・」
「あんたは浄火に比べりゃ小者よ! 長になる器じゃない!」
「・・・・・・・・・・・・!?」
あたしの言葉に、戌亥の体が痙攣するようにビクッと反応した。
そして青ざめた顔を上げ、恐怖の対象を見るような目であたしを見る。
そのせっぱ詰った目の色に、あたしは怯んだ。
「な・・・なによ? なんか文句でもあるっての?」
「・・・・・・・・・・・・」
戌亥はなにも答えずに立ち上がって背を向ける。
そして島民たちを乱暴に押し退けて、取り巻きたちと一緒に向こうへ行ってしまった。