神様修行はじめます! 其の四

「一応、前もって警告しといた方がいいだろ? うっかり誰かに引火でもしたら大変だし」


「引火ってなによ引火って! あたしは危ない指定可燃物質か!」


んもう、なんなの!? こっちって女子の武術って文化が無いのかな!?


フェミニズム思想が低いのね! ダメでしょこんなんじゃ!


「それにしても戌亥のやつ、いつも以上に余裕がなかったな・・・」


浄火が怪訝な顔で首を傾げている。


でも村人たちはたいして気にもとめていないようだった。


「あいつは元々、浄火に特に敵対意識を燃やしてただろ?」


「浄火が能力に目覚めてからすごくイライラしてるのよ」


「焦ってるんだろ。自分はこのまま力に目覚めないままなんじゃないか? てな」


力に、目覚めないまま・・・?


・・・・・・・・・・・・。


みんなの会話を聞いて、あたしは門川君のお兄さんのことを思い出した。


次期門川当主といわれながら能力を持たずに生まれてきた人。


そのせいで周囲から追い詰められて・・・・・・


・・・自ら、命を絶ってしまった。


お兄さんは生きている間、ずっとずっと苦しみ続けていた。


力に目覚めない事に怯え、悩み、自分を無力で無意味な存在だと思い込んでいた。


・・・・・・・・・・・・。


さ、さっきはちょっと戌亥に言い過ぎちゃった、かなあ・・・。


今度会ったら、謝っておこ。うん・・・。

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