神様修行はじめます! 其の四
『完全なる滅亡とは、消失さえも失うが如し。それ、たちまちに獲得して、すなわち滅するも不滅も、同義となり得る』
・・・門川君!? 門川君の言霊だ!
門川君が静かに目を閉じ、高座の上で印を組みながら、冷静に術を発動している。
―― カアァァァーー・・・!
しま子の足元に純白の円陣が現れた。
強烈な光を放ち、苦しむしま子の全身を包み込む。
すると今まで猛り狂っていた炎が、みるみる勢いを弱め始めた。
あっと言う間に炎は消滅してしまう。
業火の苦しみから解放されたしま子が、その場にドサリと倒れて気を失った。
・・・た、助かった! しま子!
ありがとうありがとうありがとう門川君!
あたしは泣きながらしま子の体に飛び付き、懸命に揺さぶった。
「しま子ぉぉ! しっかりしてよぉぉ!」
「これ小娘、落ち着け。ケガ人に乱暴するでないわ」
「だって! しま子大丈夫なの!?」
「おそらく大丈夫じゃから、少し落ち着かんか」
「おい、オレの嫁。さっきから何を取り乱してるんだ?」
グスグスと泣き続けるあたしの耳に、憎たらしいほどノンキな声が聞こえた。
「なにを泣くことがある? それ、ただの鬼だろ?」
「・・・・・・・・・・・・!」
ただの・・・・・・鬼?