神様修行はじめます! 其の四

悲鳴を上げる時間も、心の余裕もなかった。


マンモスの長い鼻が目の前で大きく振り上げられる。


次の瞬間、左腕に強い衝撃を感じて体が横っ飛びに吹っ飛ぶ。


あたしの体はなぎ倒され、地面に叩き付けられてしまった。


(・・・・・・痛ぅっ!)


運悪く後頭部に石がぶつかってしまった。


ゴゥンッという痺れが脳全体に走ってクラリと目まいがする。


「里緒!」

「アマンダ!」

「天内の小娘!」


一瞬ボウッと霞んだ意識に、みんなの声が聞こえた。


いけない・・・早く立ち上が・・・


―― ドンッ!


体勢を立て直すヒマもなくゴロンッ!と体が横に飛ぶ。


まるで板切れでもひっくり返すように、マンモスが鼻を使ってあたしの体を転がし始めた。


固い大きな石の上を、息継ぐ間もなくゴロゴロ転がされる。


(うわ、うわあぁぁ!?)


目まいと全身を襲う痛みに、あたしは歯を食いしばって耐えた。

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