神様修行はじめます! 其の四

「なんで急にこんなことに・・・?」


「あのマンモスは獲物を横取りしようとしているのですわ。それでハインリッヒちゃんを襲ったのですわ」


「獲物って、まさかあたし達のこと!?」


マンモスって確か草食動物だったよね!?


なに!? あたし達ってマンモスの目から見れば、イネ科の植物にでも見えるわけ!?


キンポウゲとかヨモギも食べてたらしいけど!


「見たところ、この島には植物が少ないようですもの」


「じゃ、必要に迫られて菜食主義から宗旨替えしたってこと?」


生きるためなら人肉だって食います。ってことか?


そんなん冗談じゃないよ! ヨモギの代わりに栄養素として吸収されてたまるかっつの!


頑張ってハインリッヒー!


「いけいけハインリッヒ! かわせ! まくれぇー!」


「ハインリッヒちゃあん! わたくしがついていますわ! 負けないで!」


―― ドオォ・・・ン、 ズシン・・・!


あたし達の大声援を受けてハインリッヒは健闘する。


でも少しずつ勢いが無くなってきた。


踏ん張りがきかなくなり、四肢がフラつき始めて、明らかに劣勢だ。


最初の不意打ちで食らった傷が、想像以上に深かったんだ。


脇腹からの出血で体毛がヌラヌラと赤黒く光っている。


相手が弱っていると見て、向こうはますます勢いづいてきた。

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