神様修行はじめます! 其の四
―― ゴオォォォ・・・!
(うわっ・・・!?)
目の前のマンモスの巨体が激しい炎に包まれた。
真っ赤な火が荒れ狂い、躍るようにもだえ苦しむマンモスを燃やしている。
これは・・・!?
「よし! 成功だ!」
歓喜する浄火の声が聞こえた。
じゃあこれ、浄火の滅火の炎?
あたしはお岩さんを抱きしめたまま、目の前の光景を脱力しながら眺めていた。
轟々と燃え盛る炎。
力無いあたしの炎とは対照的な、生き生きとした生命力に溢れる炎。
紅蓮の滅火の炎が、舐めるように敵の体を燃やし尽くしていく。
マンモスはついにその場に崩れ落ちた。
あれほど燃え盛っていた炎は勢いを弱め、嘘のように鎮まっていく。
そして炎の消失と共に、マンモスの巨体も影も形もなく消滅していた。
何の役にも立てなかった、無力なあたしの目の前で・・・。
「里緒、権田原、無事か!?」
浄火が駆け寄ってきて、あたしの肩を掴んで揺さぶった。
あたしは脱力したまま浄火を見上げる。
「もう大丈夫だぞ! あいつはオレの炎が滅したからな!」
その言葉が、小さな刃物のようにあたしの胸に鋭く刺さった。
浄火の滅火の炎が、敵を倒した。
そうだ。あたしの力じゃなく・・・。