神様修行はじめます! 其の四
トクントクンと騒ぎ立てる自分の鼓動に戸惑う。
浄火の匂いに包まれて、反射的にざわめいてしまう自分の心が嫌だった。
ど・・・うしよう。
あたし、抱きしめられてる。門川君じゃない男の子に。
こんなのダメだよ。だってあたしが好きなのは門川君なのに。
だからダメ。浄火、こんなのダメなんだよ。
あたしは腕の中で抵抗して身じろぎした。
でもそうすると、ますます浄火はあたしを逃がさないように強く抱きしめる。
完全にスッポリと包み込まれてしまって、あたしはますます混乱した。
どうしよう。いっそ思い切り突き飛ばして・・・。
・・・・・・ムリだよ。できないよ。
泣くほど、本気で心配してくれた。
あたしを助けてくれて、あたしの無事をこんなに喜んでくれてる相手。
その相手を『触んないでよ』って突き飛ばすの?
ムリ。そんなマネとてもできない。
うろたえたまま、浄火の胸に包まれ続けるあたしの耳にささやく声。
「里緒・・・聞いてくれ」
「・・・・・・・・・・・・」
「オレ、やっぱりどうしてもお前が・・・」
「天内の小娘、ケガはないかい? どれ、あたしに見せてごらん」