神様修行はじめます! 其の四

あ・・・・・・。


あたしはキョロキョロと周囲を見回した。


当主たちはみんな遠巻きにして、こっちを非難がましく見ている。



やば・・・あたし、またやっちゃった。


当主付きの側近が、そろいもそろって公式の場で大騒ぎ。


これじゃ門川君の面目、丸つぶれじゃん。


ああ、もう、あたしのバカ。


いつもこうやって彼の足を引っ張ってしまうんだから。



ぷしゅうっと頭から怒りのガスが抜けてしまった。


しおしおと座り込んで、申し訳なさに身を縮める。



「まだ祝言もあげておらぬのに、もう夫婦ゲンカとはの」



因業ババの笑いを含んだ声がした。


見れば、他の当主たちは逃げ出したというのに、ひとりだけゆったりと正座している。


その堂々とした動じない肝の太さが、ムカつく。



さらに『夫婦ゲンカ』って部分にムカつく! なによそれ!


勝手に夫婦にしないでよ!



「からかうなよぉ、信子ババ。照れるぜ」


勝手に照れるな! お前も!


「仲睦まじいことだ。浄火よ、お前たちは良き夫婦になると、私は確信したぞ」


勝手に確信するなお前も!


さっきの大乱闘のどこに、そんな根拠を見出したのよ、あんたは!



「そもそも、結婚ってなんなのよ!・・・ですか?」


い、いけないいけない。


もうこれ以上、門川君の顔にドロを塗るわけにいかない。


ここは謙虚な姿勢でいこう。冷静に、冷静に。

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