神様修行はじめます! 其の四
浄火があたしを背負いながら歩き始めた。
いくら歩き慣れてるとはいえ、この悪路を、しかも坂道を、あたしを背負って登る?
・・・ムリだよ!
あたしはベシベシ浄火の肩を叩いて叫んだ。
「なにムチャなことしてんの!?」
「そのセリフ、そのまんまお前に返す」
「下ろして! 自分で歩くから!」
「あれのドコが歩いてんだよ。どう見ても這いつくばってたじゃねえか」
「だって!」
「自慢じゃねえが、足腰は生まれた時から鍛えてる。里緒ひとりぐらい軽いもんだぜ」
「・・・・・・・・・・・・」
「それとも何か? お前、自分が太ってるって認めんのかぁ?」
笑う浄火の大きな手が、あたしの太ももをペンペン叩いた。
そのおどけた仕草に、あたしは返す言葉も無い。
驚くほど広く感じる浄火の背中から、彼の体温が伝わってきた。
少しでもあたしの心を楽にしようとしてくれる、彼の温かい気持ちと一緒に。
「赤鬼を助けたいんだろ? 黙って言うこと聞け。それと・・・」
あたしの足を抱える浄火の手にグッと力がこもる。
同時に彼の足の運びが一気に早まった。
「自分がデブじゃないって思うなら、自信もって堂々と背負われてろよ!」