神様修行はじめます! 其の四
様子から見て、もう、どうにもならないのがはっきり分かった。
まだ幼い子どもの、哀れで無残な骸。
狂ったようにわめき散らして泣き続ける母親。
視線をそらしたいのに、その酷さに釘づけにされてしまって目が動かない。
可哀そうに。こんな小さな子が・・・・・・。
「あの赤鬼が、この子を殺しやがったんだ!」
「あの恐ろしい異形を海へ突き落してやる!」
道のすぐ先は断崖絶壁の崖っぷち。
そこに数人の男達に取り囲まれ、グルグル巻きに縛られたしま子がうずくまっていた。
「しま子!? しま子、しま子!」
「・・・・・・うあ?」
あたしの声に反応したしま子が、うつむいた顔を上げた。
あたしの姿を確認した途端、すがるようにこっちに来ようと身動きする。
「うあ! うああ~~!」
「動くな! こいつめ!」
「やめて! その子に乱暴しないで!」
あたしは浄火の背中から強引に降りた。
ケガした足を引きずり、両腕をしま子へ向けながら夢中で近づいて行く。
「危ないお嬢ちゃん! 近づいちゃだめだ!」
慌てた島の人たちが、あたしの体を強引に取り押さえた。
「放してよ! そばに行かせて!」
何本もの腕の中で暴れながらあたしは叫ぶ。
「いったい何があったって言うの!? 誰か説明してよ!」