神様修行はじめます! 其の四
そ、そうか・・・。島の人たちは誰もあの大ウツボを知らないんだ。
浄火だって知らなかったんだし。
「でも、でも本当なんだよ! みんな信じて!」
「その大ウツボとやらが子どもを襲った証拠は?」
聞き覚えのある声が、この場を制するように響いた。
この、尖ってザラザラした声色は・・・。
「戌亥(いぬい)!」
「お前の言ってる事には、なんの証拠もない」
腕組みをした戌亥が、相変わらず見下すような目でこっちを見ている。
「その大ウツボとやらが本当にいる証拠も、子どもを襲った証拠も、なにひとつ無いよな?」