神様修行はじめます! 其の四
村人たちが神妙な顔でうなづき合った。
「・・・そうだ。戌亥の言う通りだよな?」
「なんといってもその赤鬼は現場にいたんだ」
「そもそも、こんな恐ろしい異形を放っておいたら危険だ。始末するべきだ!」
「待てよみんな! 早まるな!」
浄火が両手を大きく広げ、熱心に訴える。
「なあ、よく考えろ。長の許しも得ないで島の生き物の命を奪うことは、許されていないだろ?」
「許しならおれが与える。長の孫である、このおれがな」
戌亥が胸を張って誇らしげに宣言した。
・・・孫? このパッツン、あの長の孫なの?
そういえば重苦しい一重まぶたがソックリ。
そうか、それであんなに次の長の座に執着してたのか。
態度を見れば分かる。この男にとって長の血を引いていることは、何よりも誇りなんだ。
だから、次期の長候補として島の皆から熱い信頼を得ている浄火が、憎くてたまらないんだろう。
「戌亥! お前にそんな権限はねえだろ!」
「ああ。だがこの赤鬼は島の生き物じゃない。こいつは・・・」
戌亥は冷たく笑いながら、縛られているしま子を眺めた。
「こいつは、島の外から来た。よそものさ」