神様修行はじめます! 其の四
絹糸のヒゲがピクリと反応した。
そして物言わぬ目で、浄火をじっと見つめる。
浄火もまた、何も言わずに絹糸の目を見返していた。
絹糸だけじゃない。
お岩さんと塔子さんの様子も、明らかに変化した。
ふたり共、なんとも言えない複雑な表情で浄火を見ている。
・・・・・・なんなんだろう。
常世島? 聞いたことない島だけど。
みんなの様子から察するに、なにか、いわくのある島なんだろうか。
「ねえ、常世島って?」
あたしの疑問には答えず、絹糸は因業ババと話し続けてる。
「なら、ますますもって不可解じゃな。なぜ滅火の力を持っている?」
「祖先の血が目覚めたのだろう」
「そのような事例は、長き歴史の中で聞いたことがない」
「だがいま、目の前でおきているだろう。その事例が」
「・・・・・・・・・・・・」
「論より証拠、ということだ」
急に絹糸は押し黙ってしまった。
逆に因業ババは、舌の動きも滑らかにペラペラと話し続ける。
「分かったな? これで異存はあるまい。さあ急いで婚礼の準備を整えよう」
「いえ異存あります! あるんです、ありまくりです、当の本人が!」
あたしはビシッと手をあげて意見を述べた。