神様修行はじめます! 其の四
全力でお岩さんとあたしを守ろうとする浄火に、戌亥がさらに追い打ちをかける。
「つまりお前は、あちら側につくってわけだな?」
「だから、あっちもこっちもねえって!」
「みんな! 浄火はおれ達を見捨てるそうだ! あちら側の世界の住人になるんだとよ!」
戌亥の言葉に煽られて、島の人たちの冷たい視線が浄火に降り注ぐ。
その目は、さっきあたしやしま子に向けられていた視線そのものだった。
異端な者への、完全な排除の意思。
そして口々に、浄火を否定する言葉を吐き始めた。
「浄火なら、島を救ってくれると信じていたのに」
「神の一族に仲間入りしたとたん、これかよ」
「さあみんな、分かったろ? これが浄火の本性なんだ」
皆にバレないよう密かにほくそ笑みながら、さも真面目そうな声で戌亥が言った。
「浄火は、裏切者だ。この島の未来は任せられない」
「・・・・・・・・・・・・」
島の人たちが沈黙する。
その沈黙が、人々の表情が、戌亥への同意を表していた。
無言の圧力に押されて、たじろぎながら浄火は一歩、後ずさった。