神様修行はじめます! 其の四
いつも通りの、どこか相手を小バカにしたようなセリフがポンポン出てくる。
つい、ぽけっと聞いていたあたしはハッとした。
主さん! ダ、ダメ! 隠れて!
今こんな状況で、異形丸出しで出てきたりしたら・・・!
「飛んで火にいる夏の虫・・・いや、夏のヘビだよ!」
「今は春だよ。バカな娘だね、この子は」
主さんは全く動じず、カラカラと一笑した。
そして島の人たちを、ルビーのように輝く目で見据える。
「あんたらの気持ちも分かるけどね、一番大事なことを忘れてるようだね」
(一番、大事な、こと・・・?)
島の人たちは怪訝そうな表情でお互いの顔を見合う。
「あんたらは今、何がしたいんだい? 仲間外れかい? 自分たちが受けてきた仕打ちに対する、愚痴の言い合いかい?」
「・・・・・・・・・・・・」
「失われた命への、哀悼と弔いじゃないのかい?」
全員、その言葉に虚を突かれた表情になった。
「さっきから聞いてりゃ、誰のせいだの、敵味方だの、好き勝手なこと言ってるようだけどねぇ・・・」
はぁ・・・と、大きな溜め息を吐いて主さんは首を振る。
そして、静かな視線を子どもに向けた。
「今、その子が本当に望んでいる事とは、あんまり関係ないようにあたしゃ思えるけどね」