神様修行はじめます! 其の四

シン・・・とみんな静まり返ってしまった。


反論する者も無く、主さんの言葉に耳を傾けている。


「ただ、その子を悼んでおやりよ。その子のために泣いておやり」


主さんは母親へも、穏やかに語りかけた。


「あんたの痛みは理解できる。でもねぇ、その苦しみはあんた自身のものだ」


「・・・・・・・・・・・・」


「自分の怒りに、その子を取り込んじまっちゃあ、いけないよ。逝く者を惑わしてはいけないんだ」


母親がハッと目を瞬かせる。


あたしの胸にも、その言葉は深く染み入った。


・・・逝く者を・・・・・・


惑わしては、いけない・・・・・・。


母親の頬がふるふる震え、涙がボタボタとこぼれ落ちる。


ギュッと両目を閉じ、歯を食いしばって我が子を強く抱き寄せた。


閉じた唇から・・・ひぃひぃと細い嗚咽が漏れる。


やり場のない悲しみに身悶えるその姿を、主さんの赤い瞳が憐れんでいた。


「あたしにも弔わせておくれ。せめて、その子の体に魔がとり憑かないように・・・」


背中の金色の筋が柔らかく輝き出した、その時・・・


―― ドガッ!


(・・・・・・・・・・・・!?)


なにが起こったのか訳が分からず、あたしはビクッと硬直した。

< 345 / 697 >

この作品をシェア

pagetop