神様修行はじめます! 其の四
「な、なんだ? 何がどうなってるんだ?」
「あの赤鬼、娘を襲っているぞ?」
「・・・仲間じゃなかったのか?」
汗をにじませ苦しむあたしの首元が、不意に少しだけ緩んだ。
ブハッと息を吐き、胸を大きく上下させながらしま子を見下ろす。
そして、気が付いた。
・・・・・・・・・・・・しま子?
しま子の目は、少しも怒ってはいなかった。
いつも通りと全く変わらない顔で、あたしを下から見上げている。
そして、こっそりと何かを訴えていた。
「うあ、ああ、あー・・・・・・」
「しま子?」
ひょっとして、これはワザとやってる事なの? でもどうして?
しま子の真意を測りかねているうちに、島の皆がザワザワと騒ぎ始めた。
「お、おい、本当に仲間じゃないんじゃないのか?」
「あの娘、鬼に殺されちまうぞ?」
「このまま見殺しにしていいのかよ?」
島民たちの動揺がどんどん広がっていく。
それを感じ取ったらしいしま子が、なにかを催促するようにあたしの体を軽く揺さぶった。
「うあ、うああ」
(・・・まさか)
しま子、まさか自分ひとりが悪者になるつもり?
そうやって、あたし達を助けるつもりなの?