神様修行はじめます! 其の四

やっぱウグイスの鳴き声といえば、ラストの『ホケキョ』の部分が売りでしょ。


―― ホー・・・ホケ・・・


おっ? きたか!?



―― ホケ・・・・・・


よしよぉし。そのままそのまま。



―― ・・・ホケキョ?


なんでっ!?

なんでそこで、疑問文!?



「門川のスグイスって、疑問形で鳴くの!?」


「そんなわけなかろう」


「だって『ホケキョ?』って鳴いてたよ!? しかもすっごい不安げに!」


「まだ若いのであろう。鳴くのに慣れておらぬのじゃよ」



―― ホケ・・・ホケ、キョ? ホ、ホケキョウ・・・??



ち、ちょっとウグイスさん!


なんかあなた、必死な空気が漂ってるんですけど!?


大丈夫だから! それで間違ってないから自信もって!



疑問文のウグイスの鳴き声って、悪いけど、ものすごく間が抜けてる。


頼むからフツーに鳴いてフツーに。


春の優美な雰囲気、あなたの声で完全にブチ壊し。



「天内さーーーんっ!!」


さらに優美な雰囲気を壊す大声が、縁側の向こうから聞こえて来た。


ドタバタと床を踏み鳴らし、濃紺の袴姿の少年が走ってくる。


あ、凍雨くんだ。

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