神様修行はじめます! 其の四

悔しくて、歯が擦り切れそうなほどギリギリと噛みしめる。


そんなあたしの怒りなど気にもとめずに、ババは話を続けた。



「当主様のお考えや、いかに?」


高座の上の、まったく表情を変えない門川君に向かい、下から目線で話しかける。



「哀れ絶滅、とばかり思われた天内に、天の奇跡が現れたのです」


「他の一族も、この慶事にどれほど勇気づけられ、感動するでしょう」


「世界の全てにとっての慶事。この縁談が決まれば、当主様の大きな実績となりまする」



ババに続いて口々に当主たちが言いつのる。


あたしと浄火が結婚することが、どれほど世界のためになるのかを。


世界を守る代表者である、門川君に向かって。



こんなことを言われてしまったら、彼の立場では何も反論できなくなってしまう。


当主の立場を逆手にとって、追い詰め、完璧に封じ込む。


そして自分の思い通りの展開に持ち込もうとしているんだ。



・・・バぁ~バぁぁ~~・・・。


本当にいい根性しとるやんけ~~・・・。



握りしめたあたしのコブシが、怒りにプルプル震えた。


床スレスレに下がったババのデカい頭が、地面の上のサッカーボールに見える。


駆け寄って、大きく踏み込んで、思いっっ切りフリーキックしてやりたい!


青空に向かってスコーンと蹴飛ばしてやったら、どんだけサッパリするだろう!



「僕は・・・・・・」


ずっと沈黙を守っていた門川君が、初めて口を開いた。


あたしは振り返り、彼のメガネの奥の冷静な表情を見る。


門川君・・・・・・!

< 41 / 697 >

この作品をシェア

pagetop