神様修行はじめます! 其の四
またひとつ、不安の種が胸の奥に撒かれた。
お岩さんとセバスチャンさんの事。
塔子さんやあたしの身に起きている異変。
島に起こっている、不穏な奇跡の正体。
あたしたち三人の関係も、これからどうなるんだろう。
門川君が恋愛感情に目覚めてくれる日を、心待ちにしていたのに。
なのにこんな状況じゃ、ちっとも・・・。
「なにやら海が騒いでおるのぅ」
絹糸がオーロラの海を眺めている。
ユラユラと凪いだ海のように揺れていた虹色の輝きが、いつの間にか大きくうねっていた。
「・・・来るね。荒れるよ」
主さんも海を眺めて、そう言った。
音もなく近づいて来る。せわしなく打ち寄せる。
遠い見知らぬ果てから、ヒタヒタと不安と憂いを運んでくる。
取り囲まれている島は、波から逃げる事はできない。
来るのが分かっていながら、待ち受ける事しかできないんだ。
それがどんな結果をもたらすのか、予想もできないまま・・・。
恐れにも似た悩ましさを抱えながら、あたしは村へと進むしかなかった。