神様修行はじめます! 其の四
命の水
岩ばかりが目立つ景色の中を、しばらく皆で無言のままゾロゾロと歩いた。
門川君たちは珍しそうに辺りを眺めている。
「ずいぶん殺風景じゃのぉ」
「ずいぶん遠慮のねえネコだな、あんた」
「見渡す限り岩ばかりじゃな。これではさぞ暮らし辛かろうて」
「新鮮な飲み水の確保も、ままならねえよ。だから島は死亡率が高いんだ」
浄火が沈痛な声で言った。
「特に、子どもがな・・・。せっかく元気に生まれて、育ってくれた子だったのに・・・」
その言葉に、皆が再びシン・・・と沈黙してしまう。
重々しい空気を変えるように、門川君が浄火に話しかけた。
「浄火君、この島の当主殿はどちらに?」
「当主? 長のばーちゃんの事か?」
「ぜひお目にかかって、ご挨拶をしたいのだが」
「ふむ、そうじゃのぅ。門川の当主が来ておきながら挨拶もせず、というわけにもいくまい」
「断わりも無く島の中を嗅ぎ回るわけにも、いかぬでおじゃりましょう」
あ、そうだ。
そういえば、長さんに因業ババの事を教えるつもりだったんだっけ。
しま子の騒ぎで、それどころじゃなくなっちゃったから。
今度こそちゃんと説明して理解してもらわなきゃ。
「じゃあ行くか。長のばーちゃんの所に」
あたし達は村へ行く前に、あの洞窟へ戻ることにした。