神様修行はじめます! 其の四
戌亥の顔がサッと青ざめ、絶望に歪んだ。
矢継ぎ早に叫び続けていた口の動きが、ピタリと止まる。
決して自分を振り返ろうとしない祖母の背中を見つめる目から、涙がボロボロと落ちた。
「う・・・わあぁぁーーーーー!」
髪を掻き乱し、戌亥は駆け出した。
あたし達の横を逃げるように走り去っていく。
泣き叫ぶ錯乱した声が、糸を引くように洞窟内にこだましていた。
「・・・・・・・・・・・・」
長は反響する孫の悲痛な声をじっと聞いている。
眉間に、わずかな苦悩が刻まれているように見えた。
あたし達は声も無く、この状況を見守るしかない。
このシリアスなシーンで、ガン首揃えてゾロゾロ出て行くのは、さすがにちょっと。
どうしよう。出るに出られない・・・・・・。
岩陰に固まったままのあたし達に気付く様子もなく、長は大きな溜め息をついた。
そして哀しげな表情で、力無く首を振る。
ついさっきまでの、意固地なほど長としての立場を貫いていた気配は消えていた。
そして肩を落とし、ゆっくり歩き始める。
行き止まりの巨大な壁画の、天女の肖像画の足元辺りを、シワだらけの小さな手が押した。
―― ガターーン・・・!
大きな音と共に、壁画に穴が開いた。
・・・へ? な、なにあれ? 隠し扉?